第10回家族教室が終了致しました
こころの病気を持つ患者さまの回復には、ご家族の支えが重要となります。でもそのご家族も、時には対応に戸惑ったり、疲れたり、悩んだりすることも多いことと存じます。問題が大きすぎて一人では何もできないと感じて孤独になってしまうこともあることでしょう。
そんな悩みを一人で抱え込むより、同じ悩みを持つ方同士で語り合い、泣いたり笑ったりすることで元気になれるかもしれません。そして、それは患者さまを支える大切なエネルギー源となります。
当事者(患者さま)の回復への糸口や対処方法は、それぞれのご家族で違ってきます。回復への糸口を見つけ出す力は、ご家族自身が持っていらっしゃいます。スタッフは、その糸口を探すお手伝いを致します。
患者さま、ご家族様からのご要望が多かったため、今回は初めて土曜日ー5月29日(土)~7月3日(土)まで全5回実施いたしました。
2010年5月29日(土) テーマ:「お話会とは?(目的、参加してのメリット)」
2010年6月5日(土) テーマ:「当事者とご家族とのつきあい方」
2010年6月12日(土) テーマ:「私ってがんばってるな~解決志向アプローチ~」
2010年6月26日(土) テーマ:「コミュニケーションの1歩~SSTという方法~」
2010年7月3日(土) テーマ:「リラックス法について」
5月29日家族教室・・・ミニレクチャー
テーマ「エンパワメントとEE(感情表出)」
エンパワメントでは、患者さん=病気という概念は用いません。「患者さん」ではなく、病気を抱えた「当事者」です。
当事者と病気は別物であり(当事者+病気)、専門家(医療者)とご家族だけでなく当事者も病気を抱えながらどう生活するか、どうやって対処していくのかを考えます。そうすることで自信を持ち、気持ちを楽にすることができます。
・EE(感情表出)とは?
ご家族が当事者に対する態度の中でも、批判的であったり、敵意を持っていたりするもの、また、当事者の言動に振り回された結果生じる態度をEEと呼びます。
こうした態度は当事者を心配しているからこそ生じているのですが、病気の再発リスクを高めているという研究結果もあります。
また、EEが頻繁に生じているご家族は、病気についてよくご存じなかったり、助けを求める人がいらっしゃらず、心の余裕がなくなっている場合が多いようです。
病気への知識を得ること、不安や悩みを話しあうことで気持ちが安らげば、EEの頻度は低くなります。
このようなことから、お話会では、ご家族同士で気持ちの共有や情報の交換を行っていきたいと思っております。

6月5日家族教室・・・ミニレクチャー
テーマ「当事者とご家族の付き合い方」
こころの病気は、遺伝や当事者の気の持ちようが原因ではありません。同様に、育て方が悪かったからというわけでもありません。
価値観の多様性や職場での人員削減など、現代の人々にかかる心身の負担は膨大です。そのため、10人に1人は一生に1度は精神科を受診するという報告も聞かれます。このように、「こころの病気」は特別なものではありません。
・当事者との付き合い方
風邪をひいたとき、お腹が痛いとき、ご家族からどのように接してもらいたいでしょうか。優しい言葉をかけてもらったり、静かに休ませてもらいたいのではないでしょうか。こころの病気を抱えていらっしゃる方も同様です。
・日常生活で苦手となること
「こころ」の病気といっても、身体にも影響があります。体力の低下や、以前よりも考えることに時間がかかる、などが挙げられます。
たとえば、普段何気なくしている会話でも、相手の表情や言葉に注意を払い、言葉の意味を理解し、それにふさわしい回答を考え、発音し…と様々な過程が必要とされています。
このように私たちの行動には、多くの体力・思考力が必要とされます。そのため、当事者の方は、これまで当たり前だと思っていたことがしづらくなっています。
まずは、安静第一でゆっくり休み、体力・思考力を回復しましょう。そして、規則正しい服薬をこころがけましょう。また、調子が良くなってきたと思っても無理は禁物です。焦らずにいきましょう。
当事者の方と最も長い時間を過ごされるのは、ご家族だと思います。心配だからこそ、元気になってほしいからこそ、「症状」に目が向いたり、「どうしてできないの?」と思うこともあるのではないでしょうか。
それはとても自然な気持ちです。ただ、それを受けた当事者の方が、「わかってはいるけど・・・」と落ち込むことも自然なことです。お互いの気持ちが近づくように、ちょっとした工夫をしてみませんか。
病気を抱えていらっしゃる当事者は、以前よりも反応に時間がかかります。それは病気の症状だけではなく、服薬の効果である場合もあります。
そんなときは、いつもよりゆっくりと短い言葉で語りかけてみたり、相手からの返事をいつもより気長に待ってみましょう。
当事者は無視をしているのではなく、返答を考えているのかもしれません。
また、抽象的な言葉(「しっかりしなさい」など)を実行に移すことは苦手な場合が多いので、「起きてくれると嬉しいのだけど」など具体的な事柄を挙げてみましょう。
また、家族同士で気恥ずかしいこともあるかと思いますが、ご自身の気持ちを伝えたり、何気なく挨拶すること(「おはよう」「~してくれて嬉しい」)が当事者の方と近づく一歩となるかもしれません。
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6月12日家族教室・・・ミニレクチャー
テーマ「私ってがんばってるな~解決志向アプローチ~」
・「困ったとき」はどうしていますか?
問題の原因を探り、それを解決することで問題解決を行なうことが多いのではないでしょうか。一方で、問題の原因(過去)ではなく、理想像を設定し、それに向かって今現在の力を活かしていく問題解決法もあります。これを解決志向アプローチといいます。
・解決思考アプローチの6つの鍵
1.「あるもの探し」をしてみましょう
「これができない・・・」と感じていらっしゃる行動の中にも、「できていること」「あるもの」が存在しています。それを探してみましょう。
「毎回、『食べたくない、いらない』と言う」コミュニケーションが『あり』ます。
2.「例外探し」をしてみましょう
いつもと違う行動があったとき、問題が「なぜか」起こらなかったとき、何かいつもと違ったところがないか探してみましょう。それは既に起こっている解決の一部かもしれません。
(例)みそ汁を一口食べた』
⇒食事の前に運動をしていたのかな?何か新しいみそ汁の具を入れたかな?
できないこと・責任を追及するのではなく、「どうしてできたのか」を追求し、それを本人のお手柄にしましょう。
(例)「なんでいつもは食べないの?」→ ×
→「よく食べられたね!どうして食べられたの?」
→「ここまでよく作り続けたもんだわ。これって相手を大事に思ってるからね!」
4.肯定的なフィードバック
できたことを労り、褒めましょう。
そして、「例外探し」や「成功の責任追及」で探した条件を再現してみましょう。
(例)「どうして食べられたの?」「新発売のみそ汁のCM見て、なんとなく・・・」
⇒CMではどんなみそ汁を作っていたかな?新しいものに興味があるのかな?
肯定的な評価や、自分で「できた」と思える体験は自信へ繋がります。そして、それは次のステップへ踏み出す力にもなります。そのために「良い目標」をたてましょう。
【良い目標作りの3条件】
(例)いきなり『1日3食』よりは『1日3口』から
② 抽象的なものではなく、具体的なもの
(例)『食事を摂る』よりは『茶碗半分のお粥を食べられるようになる』
③ 否定形(「~しない」)ではなく肯定形(「~する」)という目標
(例)『食べなくても怒らない』より『食べたら褒める』
6.どうしたいの?どうなってると思う?(解決像・未来像の構築)
解決志向アプローチでは、本人のペースで無理なく行動することができます。また、本人が自分で行動し、「できた」という感覚を得ることが自信に繋がります。
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<参考文献>
「森・黒沢のワークショップで学ぶ解決志向ブリーフセラピー」 ほんの森出版
「タイムマシン心理療法ー未来・解決志向のブリーフセラピー」 日本評論社
6月26日家族教室・・・ミニレクチャー
テーマ「コミュニケーションの1歩~SSTという方法~」
・『SST』とは?
・日常生活の中で出会う様々な問題や課題に対処できる能力 です。
これは特別なものではありません。挨拶をすること、バスに乗ることもソーシャルスキルの1つです。
社会生活における問題は、それに必要なソーシャルスキルが不足しているために生じていると考えます。そこでSSTをおこない、必要なソーシャルスキルを学習すると、問題の改善につながります。
しかし、習慣化される繰り返すためには、それなりの動機(理由)が必要です。その原動力となるものが、実際にやってみて「楽しい」・「嬉しい」・「役立った」という感覚です。この感覚の積み重ねが大切です。
また、自分が「楽しい」と思うだけでなく、人から褒められるという経験の積み重ねも、ソーシャルスキルの獲得に重要です。
「前より30分早起きできたね。頑張ったね」→ 頑張った自分。次はもっと早く起きよう
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SSTは、その人だけでなく、その人の周囲の人も生活しやすくなるための1つの方法です。
◎その人の良いところが見えてきます。また、その人本来の力に注目できます。
◎意外な面の発見があります。
◎変化を体感できます。
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7月3日家族教室・・・ミニレクチャー
テーマ「リラックス法~筋弛緩トレーニング」
緊張したとき、不安なとき、体の筋肉は収縮した状態にあります。そんなとき、筋肉の緊張を和らげる目的で行うものが筋弛緩トレーニングです。
不安になったり緊張したりしたとき、イライラしたとき、気が昂ぶって眠れないときなどに使います。
不安になると、人は浅く早い呼吸を胸でする傾向があり、それがまた新たな身体症状を生み出す引き金にもなります。深くゆっくりとした呼吸をお腹ですることで(腹式呼吸)、不安を和らげることができます。
今回は実際にそのトレーニングを行いました。